食品廃棄物の埋め立てゼロに!ニュージーランド/オークランド市の取り組み
ゼロ・ウェストを目指すオークランド市
2018年、ニュージーランド最大の都市であるオークランド市は、「2040年までにゼロ・ウェイストの街を目指す(ゴミの排出量をゼロにする)」と宣言しました。
従来、オークランドでは、家庭で出すゴミの種類は、ダンボールや瓶などのリサイクルごみとその他一般ごみという2種類のみでした。そこに新たに加わったのが、「家庭用生ごみ(フードスクラップ)」の回収。
家庭から出る食品廃棄物の回収
これまで、週1回の一般ごみ回収の中で、生ごみとして現在埋め立てられているのは、なんと1人当たり35キロ。2040年までにゼロ・ウェイスト達成を目指すオークランド市にとって、この家庭用生ごみを有効活用するのは、目的達成に大きく貢献することが期待されています。
回収対象となるのは、ほぼすべての食品で、野菜、果物、卵の殻、肉類(骨含む)、魚介類、乳製品、コーヒーや紅茶のかす、切り花、油、パンやパスタ類、生分解可能なラップや袋など。
逆に、回収不可なのは、ビニール袋、使い捨ての食品容器(コンポスト可能なアイテムを含む)、ラップ、ワックス紙、アルミホイルなどの食品包装、布や衣服、おむつや生理用品、ペットの排泄物、液体または化学薬品、たばこの吸い殻、土や石、雑草や芝生、ティーバッグやコーヒーバッグ (プラスチックが含まれている可能性があるため)となっています。
各家庭には、写真のように、生分解可能なビンライナー(ごみ袋)と専用ビンが配布され、回収日に家の前に出しておくと、専用車で回収されることになっています。ビンライナーはスーパーなどでも販売されており、20枚で約250円です。
生まれ変わるフードスクラップ
回収された家庭用生ごみは、業者によって嫌気性生物処理され、バイオエネルギーや液肥として再生し、そこからまた食料生産に繋げるという循環を目的としています。
NZバイオエナジー協会の試算によると、埋め立てられている廃棄物を嫌気性生物処理に回す事で最高年間180万トンの気候変動ガスの削減が可能となるそう。
さらに、6万トンの事業系食品廃棄物と一般食品廃棄物によって1,000世帯以上に再生可能電力を供給でき、3,000ヘクタール以上の農場をカバーできる液体バイオ肥料を生産することで、輸入肥料と人工肥料への依存を減らせるとしています。
すでに、コンポストとして生ごみを栄養豊富な土へと還し、家庭菜園などで利用しているケースも多く、オークランド市では、回収とコンポストを並行していくことで、埋め立てるゴミを減らし、持続可能な社会の一端となるよう市民の意識を高める取り組みを推進中です。
次世代のためにできることを
「KAI FROM KAI」 の合言葉で始められた家庭用生ごみ回収。私たちのポノ・カイ ニュージーランドというサイト名でも使用している「カイ=KAI」はマオリ語で「食べ物」を意味します。この取り組みは、食べ物から新たな食べ物を生み出すというこれからの地球に必要な循環を目指していますが、この他にも個人でも行えるコンポスト(堆肥化)など、ひとりひとりが意識を変えて参加していくことが重要ですね。埋め立ててただのゴミにするのではなく、有効活用できるものは積極的に再利用する。次の100年、200年のために、できることを今から始めましょう!
商品のご紹介
生分解可能な食品ラップが登場
食品ラップは、日常的に多用するものですが、生ごみ回収にも入れられず、コンポストにもできず、使うたびに捨てることで、鳥や海洋生物にも多大な悪影響を及ぼしてきました。商品によっては、燃やすと有毒ガスを発生するものもあり、地球環境や人体への影響も少なくありません。
そこで登場したのが生分解される食品ラップ。コンポスト可能な材料は、湿った環境で分解し、その過程で有害な残留物を残さずに二酸化炭素と水に戻るように設計されており、家庭では約90日~180日で堆肥化されます。
ラップの他にも、短期間保存したい野菜や学校や職場へ持参するランチを入れるのに使用できる食品バッグもとても便利なものです。こちらもコンポストできるタイプがあります。しかも水で洗えば再利用可能!
これまでの生活スタイルを大きく変えることなく、環境保護に貢献できたら嬉しいですよね。ぜひお試し下さい!